エネルギーの使用の合理化に関する(省エネ法)は、石油危機を契機に1979年に制定されました。省エネ法は、内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場・事業場等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置等を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
燃料・熱・ガス・電気などのエネルギーを一定規模以上使用する工場・事業場は、その年間のエネルギー使用量(原油換算値)を工場・事業場ごとに国へ届け出て、エネルギー管理指定工場の指定を受けなければなりません。
エネルギー管理指定工場は、エネルギー管理者やエネルギー管理員の選任、エネルギーの使用の状況等の定期報告書や中長期計画書の提出、設備ごとのきめ細かな現場でのエネルギー管理を工場・事業場単位で行うことが義務付けられます。
今回の改正ではこれまでの工場・事業場ごとのエネルギー管理から、企業全体での管理に変わります。したがって、企業全体(本社、工場、支店、営業所など)の年間エネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500kl以上であれば、そのエネルギー使用量を企業単位で国へ届出て、特定事業者の指定を受けねければなりません。
コンビニエンスストア等のフランチャイズチェーンも同様に事業全体でのエネルギー管理を行わなければなりません。フランチャイズチェーン本部が行っている事業について約款等の取り決めで一定の要件を満たしており、かつ、フランチャイズ契約時業者(加盟店)を含む企業全体の年間の合計エネルギー使用量(原油換算値)が1,500kl以上であれば、フランチャイズチェーン本部がその合計エネルギー使用量を国へ届け出て、特定連鎖化事業者の指定を受けねければなりません。
また、エネルギー管理指定工場の指定については、これまで同様に一定規模以上のエネルギーを使用する工場・事業場等は、エネルギー管理指定工場の指定を受けることとなります。
エネルギー管理指定工場の義務のうち、定期報告書、中長期計画書の提出が従来の工場・事業場単位での提出から企業単位での提出に変わります。
特定事業者及び特定連鎖化事業者は、エネルギー管理統括者(企業の事業経営に発言権を持つ役員クラスの者など)とエネルギー管理企画推進者(エネルギー管理統括者を実務面で補佐するもの)それぞれ1名選任し、企業全体としてのエネルギー管理体制を推進することが義務付けられます。
今回の改正に伴い企業全体でのエネルギー使用量の把握に努めていただく必要がある。
エネルギー使用量は平成21年4月から1年間記録する必要があります。
下記フロー図のとおり、企業全体での年間の合計エネルギー使用量(平成21年4月~22年3月まで)を正確に把握し、1,500kl以上であればエネルギー使用状況届出書を平成22年度に管轄の経済産業局へ届け出なければなりません。
経済産業局にエネルギー使用状況届出書を届け出ると、経済産業大臣から指定を受け特定事業者(又は特定連鎖化事業者)となります。特定事業者(又は特定連鎖化事業者)は下図に示すとおり、エネルギー管理統括者の選任、エネルギー管理企画推進者の選任、定期報告書・中長期計画書の提出が必要となります。